フィリピン大学ディリマン校への交換留学について(到着から約一ヶ月)

こんにちは。元気です。 留学を始めてから約一ヶ月経ったので、これから留学する人に伝えられそうな情報と、生活していての雑感を書きます。

重要事項

  • 出願に英文の健康診断書が必要なので気をつけたほうが良い
  • GCashの認証をビザ申請でパスポートを手放す前に済ませるべき
  • 寮には机と椅子とベッド以外は本当に何もないので準備していくべき(ただし現地で買えるものは多い)

留学前

ワクチン接種

来てみると意外にしていない人が多いです。私は、短期間で大量に打ちましたが、まだ滞在が浅く、体調を崩していないので、ありがたみを感じる段階にありません。
ワクチンはかなり高額で、病院によって金額にある程度開きがあるので、接種するならばいくつかの病院を調べてみたほうが良いと思います。一ヶ月もあればおよそ接種を終えられます。ただし、期間を空けてから打つものは帰国後に再度接種するという形になります。
学内、それも寮から徒歩数分のところに病院があるので、致命的ではない感染症についてはワクチン接種は必要だったか疑わしいですが、観光などで病院の少ない地方に行くこともあり得るので、打って損はなかったと思いたいです。

健康診断

留学するにあたって、指定された形式の書類に医師が記入した英文の健康診断証明書が必要になります。どんなにスピーディーに手続きしても5日程度はかかるので、先延ばし癖があったり、書類を読み飛ばしがちな場合は注意する必要があります。私は病院へ行かなければならないことにリマインドメールが来てから気づき、一日遅れで出しました。

ビザ

種類

47a2ビザは、手続きに最大34ヶ月程度の時間がかかり、その間パスポートを大学に預ける必要がありますが、強力です。1セメスターの留学の場合は、ほとんどの期間をパスポートなしで過ごすことになってしまい、日本への帰国を含めた海外への出国ができなくなるため、SSPの方が利便性が高そうです。
SSPは、ビザではないので、観光ビザの期限を気にして、入国し直したり、ビザを延長したりする必要があり、面倒ですが、1ヶ月程度で手続きを終えることができます。

ビザの延長

フィリピン到着後にSM NorthのBureau of Immigrationで数時間あれば延長できるので、日本の大使館で手続きしてくる必要は特に感じませんでした。他国と比べて楽でありがたいです。

写真

2x2インチと1x1インチの写真が必要になります。写真屋で撮ってもらってもよいと思いますが、寸法を自由に設定できる証明写真機やプリントサービスなどで50x50 mmと25x25 mmの写真を印刷するだけでも十分だと思います。

お金関連

  • 銀行口座
    • ビザ等の関係上、日本では作れません
    • フィリピン到着後、ビザが出れば作れると思いますが、未検証です
  • クレジットカード
    • 持っていると便利です
    • モール内なら使えますが、ローカルなお店では使えません
    • まれにIDの提示を求められます
      • パスポートのコピーを念のため持っておくと良いです
  • キャッシング
    • できるようにしておくべきです(銀行口座がないため)
    • 寮から徒歩数分の場所やモール内などにATMがあります
    • ただし、上限額があったり、小さい紙幣で出てきたりするので、すごく便利というわけでもないです
  • 現金
    • 日本の空港で両替をすると(私はそうしましたが)、現金の持ち込み制限の関係で上限額があるので、フィリピンの空港などで両替するのが良さそうです
    • レート事情については詳しくわかりませんが、モールに両替屋があるので、日本円を現金で持ってくるのもよいと思います
  • GCash
    • フィリピンでのキャッシュレス決済はほぼ全てGCashみたいです
    • ローカルなお店でも半分くらいはGCashに対応しています
    • 寮の家賃もGCash払いできます
    • 認証に1日程度かかり、パスポートの原本の写真を撮る必要があるので注意が必要です

髪型

当然といえば当然ですが、周りの留学生を見渡すと特に全員短髪にしてきたとか全員伸ばしてきたとかいう傾向はありませんので、好きな髪型で良さそうです。寮の近くなどにある理髪店以外にも、モールの中には日系や高級志向の美容室があるので、髪型のメンテナンスをしようと思えば可能だと思います。私は未経験なのでクオリティは保証しません。

フィリピン社会全体でいえば、黒髪前髪なしロングの人が多いとは思うのですが、UPDの周辺では、髪を染めている人も相当数おり、派手な髪色の学生も一定数見かけます。また、ボブ程度の髪の長さの人も稀にいます。ただ、前髪のある女性は少ないと思います。男性の髪型もまちまちで、全員同じという感じではないです。しかし、日本のおしゃれ好きの男性に見られるような長めの髪の人はほぼいません。
ローカルに馴染む髪型にするべきかどうかは私にはわかりません。大学周辺では特に気にする必要はなさそうです。マニラなど、他の場所に出かけるにあたっては、気にした方がいいかもしれませんが、リスクを減らそうと思っても英語の訛り方や挙動で外国人だと見抜かれることは間違いないと思います……

持ち物

持ってきた方がよいもの

後述しますが、近くのモールでほぼなんでも買えるので、こだわりのない人は大荷物で来る必要はありません。とはいえ、日用品の物価はそこまで安くないので、日本で買い揃えてくるのもよいと思います。
日本から持ってくるべきだと思うのは、化粧品、スキンケア用品、薬です。その他、必要なら、インスタント食品や調味料なども重宝すると思います。日本食の店は大量にありますが。
もし余裕があれば、amazon等でフィリピンで使えるSIMを買っておくのもよいと思います。着いてすぐインターネットが使えるのは便利です。

乾燥機のあるコインランドリーが寮の近くにあるので、速乾性などを気にせず好きな服を持ってきてよいと思います。丁寧に洗えるわけではないので、レースがたくさんの凝った服などは難しいかもしれません。 クーラーが効いていると寒かったり、時期によっては半袖ではやや寒い場合もあるようなので、長袖の羽織は重宝しそうです。

移動日

チケットなど

フィリピンに観光ビザで入国する場合には、ビザの有効期限内に他国へ出国するチケットが必要です。選択肢は3つあって、https://toponwardticket.com/で完全に捨てる用に10$で買うか、それが恐ければ、検索サイトで最安値の国際線チケット、例えばコタキナバル行き、を探して買うか、近隣の観光したい国ないし日本行きの日付変更オプション付きチケットを買うかです。私は確認されませんでしたが、確認された人もいるようなので、航空会社の人やイミグレの人に詰問されるリスクを考えれば、買っておくべきだと思います。

出入国

羽田発の便だったのですが、自動手荷物預け入れ機、顔認証ゲート、電子機器を入れたまま鞄が通せる手荷物検査機などが導入されており、超スピーディーでした。単に羽田発の朝の国際線が空いているということもあると思います。飛行機はやや遅れて出ましたが、定刻より前に到着しました。
出国審査で、留学目的で来ているが、学生ビザは到着後に申請する、という旨を言おうと準備していたのですが、ほぼ一言も話さずに通過できてしまいました。これも人によると思います。行列もなかったので、到着してから15分くらいで外に出て来れてしまい、時間が余ってアイスクリームを食べて時間を潰すことに……。SIMカードを持っていない人はこのタイミングで買うと良さそうです。

送迎

送迎の表にターミナルの番号とArrival Bayが書いてあったのですが、Arrival Bayが何だかわからず困りました。実際は、空港の外に出てすぐのロータリーの中での位置のことだったようです。空港周辺は渋滞がひどくて、本当に大学に着くのか不安になりました。(もちろん、無事に着きました)

寮へのチェックイン

あらかじめ送ってもらっている寮生IDの画像を見せて、少し書類を書けばチェックインすることができます。エレベーターがないので、上の方の階の部屋に割り当てられた人は頑張ってスーツケースを運ぶことになります。

生活

寮の環境

Acacia Residence Hallという寮に住む人が多いと思います。日本人はほとんど寮生ですが、他国からの留学生はコンドミニアムに住んでいる人も少なくありません。
Acaciaの部屋は、ジメジメしていて、ベッド、マットレス、机、椅子以外には本当に何もないです。あと若干薄暗いです。しかし、綺麗な部屋だと思います。シャワーは水ですが慣れます。トイレは普通ですが、フィリピンのトイレの常として紙は流すのではなくゴミ箱に捨てる必要があります。虫は今のところそこまで出ません。3人の相部屋でプライバシーが無なので気になる人は気になるかもしれません。不快な要素は湿気くらいですが、居心地が良いわけではない場所です。
電化製品の持ち込み制限がありますが、ドライヤーやヘアアイロンを持ってきている寮生を見かけるのでどのくらい守るべきかは分かりません。私は生真面目に守ったのでヘアアイロンがなくて困っています……もちろん、買えばいいんですが、高いし。

ネットワーク・電気

無線ネットワークはeduroamが使えます。また、講義が始まった後くらいに大学メールのアカウントが付与されるので、それ以降はDILNETと呼ばれる大学のネットワークを使うことができます。寮の中では携帯の電波は絶望的に弱いですが、WiFiが高速なので困ることは少ないと思います。まれにWiFiの調子の悪い日があって、その場合は苦しいです。寮では停電は今のところ経験していません。モールでは数秒の瞬間的な停電が起きたことがありました。

生活のために買ったもの

参考のために書いておきます。中には日本から持ってくるといいものもあるかもしれません。

  • トイレットペーパー
    • 部屋にないので必要
    • 1ロールくらいスーツケースに入れてくると初日に役に立つかも
  • ゴミ箱・ゴミ袋
    • 普通のゴミ用とトイレのゴミ用(トイレに紙を流せないので)で少なくとも2セット必要
  • 物を整理するための箱
    • 棚などが一切なく、机の上かスーツケースの中にしか物を置けないといつまでも片付かないので、必要
  • ハンドソープ
    • 当然ないので必要
  • 食器とカトラリー
    • 外食しかできないのだから要らないと思いきや、朝食などを食べるのに必要
  • タオル
    • 4枚持ってきたが、洗濯が高額なので買い足した
  • ゴムのバスマット
    • 水回りの床がべちょべちょなので部屋共用で買った
  • 突っ張り棒
    • プライバシーの確保や物干しに必要
  • 水筒
    • フィリピンでは多くの人が水筒を持ち歩いている
    • 洗うのが面倒であまり使っていないがあった方がいいと思う
  • 食器用洗剤・スポンジ
    • 水筒や食器を洗うのに必要
  • 扇風機
    • ないと暑いです
    • 5VDCで動く充電式のものから大きいものまでモールに行けば買える
  • シャンプー・コンディショナー、ボディウォッシュ、洗顔
    • 現地で買えるだろと思って持ってこなかったら想定通り現地で買えた
  • 低用量ピル
    • 薬局で薬剤師の人に言えば買える
    • 薬の種類やメーカーは目星をつけておいた方がいいかも
  • 紙コップ
    • 食器を洗うのが面倒なときに
  • 殺虫剤
    • 使う機会は来ていない
    • 道端ではよくゴキブリを見かけるので持っておくに越したことはない
  • 安いサンダル
    • 部屋履きや近所へ出かけるとき用
  • 中くらいの大きさのバッグ
    • 講義に行くのに適した鞄は持ってきたほうがいい
  • 折り畳み傘
    • ないとスコールに降られたとき即死
    • 忘れ物の多い人は2、3本日本から持ってきても良いと思う
      • 私はすでに2本フィリピンで買った
    • セブンイレブンやモールの店、ローカルな店、物売りの人など入手先はたくさんある

他にも色々あったような気がします。生活に必要なものは必要です。

生活の利便性

日本で住んでいたところが都会ではなかったということもありますが、極めて便利です。 まず、寮の裏手にコインランドリーと飲食店と比較的早い時間に閉まるコンビニがあります。さらに、徒歩5分程度の場所に飲食店街があり、清潔感にこだわらないのなら、250円程度で一食食べることができます。徒歩8分程度のところには(21時閉店の)セブンイレブンがあり、さらに足を延ばして20分程度歩けば、生活で必要なものがほとんど揃い、日本食店も入っているモールが建っています。さらに大きいモールへは車で30分から40分程度です。

交通

大学内やその周辺への移動はジープニーで行えます。およそ50円前後で割安です。大学周辺に限っては治安は悪くないですが、他の場所で乗る場合は警戒が必要だと思います。少し遠出する場合は、GrabまたはJoyrideでの移動を主として、バイクタクシーやトライセクルも選択肢になるでしょう。数人で割ればそこまで高価ではありません。電車での移動は推奨されないことが多いですが、ジープニーまたは徒歩で2つの駅にアクセス可能です。総合して、不便ではありませんが、時間帯によって差があるとはいえ渋滞がとにかくひどいのと、交通ルールが怪しいので、いつもハラハラします。

食事

甘いもの、油っこいもの、しょっぱいものが多いです。全体的に安いですが、価格帯の開きが大きいと感じます。こだわりがなければ一食50ペソ(140円前後)から、多くの場合100ペソ前後で外食できますが、モールで食事をする場合、200ペソ前後から500ペソ程度になります。インスタント麺も安くて美味しいです。

健康的な食事をしたい人や怪しい環境で調理されたものを口にできない人にとっては辛い生活だと思います。私は今のところ元気です。 食事についてのエントリを別に書きたいと思っています。

洗濯

寮の裏手にあるコインランドリーは洗濯と乾燥で一回につき200ペソ程度かかります。他の店ならもっと安いだろうとは思いますが、利便性と安全性を買うべきところだと思います。

空いている洗濯機/乾燥機に服を入れて、何分運転するかを店員の人に伝えれば洗濯/乾燥ができます。乾燥を始めるタイミングで料金を支払うことが多いです。 土日はうんざりするほど待つので、土日を避けた方が良いと学びました。混んでいるときは、飲食店のように名前を書いて待ちます。

講義

もちろん、教員からの配慮の多寡や英語の流暢さに依存しますが、聞き取れる英語で講義してくださる先生が多いです。ただ、生徒からの質問がフィリピノ語だったり、授業の本筋から外れる内容や冗談でフィリピノ語に切り替わったりということはしばしばあります。

私は工学系の実習メインの講義とフィリピノ語の語学の講義しか受けていませんが、友人の話では、人文系の科目はリーディングの課題が多くて苦労するようです。イエローペーパーが必需品だと書いてある記事も見かけますが、工学系ではあまり使わないようです。 オンライン講義を経ての時代の変遷もあるのかもしれません。 学期が始まる前の履修登録のシステムが非常にややこしいので、現地の学生に助けを求める必要があります。

サークル

Student Organizationと呼ばれているものがサークルに相当すると思います。内容は多岐に渡りますが、UPD Student Organization などのワードで調べて、気になる団体のFacebookページを見れば雰囲気を知ることができます。新歓の時期は9月の下旬から10月の第一週くらいまでのようです。私は10月の第一週が終わろうというときにこのことに気づきました。

雑感

校風

優秀で意欲的な学生が多くて刺激的です。アートや音楽から数学まで様々な専攻が広いキャンパスに同居しています。学生以外の人もさまざまな目的でキャンパスに出入りしたり住んだりしています。また、大学の風土として、学生運動が非常に盛んで興味深いです。至るところに抗議のポスターやステッカー、グラフィティがあります。主張の内容には濃淡がありますが、例えば反マルコスの姿勢は大学全体で多くの学生や団体の共通項になっています。

言語について

学生や教員、モールの店員には非常に流暢な英語を話す人が多く、英語に明るくない私には訛りは感じられません。また、近所のモール等で会う私学の学生たちは、日常的に英語で会話をしています。一方で、寮で働いている人や屋台でものを売っている人、学外で会う人などの中には、rの巻き舌など、訛りが強い人も少なくなく、非常に聞き取りづらい場合があります。UPの学生の日常会話はTaglishです。フィリピン全土から学生が集まっているので、タガログ語以外がネイティブの人も相当数いますが、出身の違う人同士ならタガログ語で話しているようです。

ポップカルチャーについて

大学の近くのモールにホビーショップが入っていて、M:tG、Flesh and Blood、Warhammerなどがプレイされているので、とても嬉しいです。プレイ人口はぼちぼちで、私学の人の方が多いようです。単純に高価だからだと思いますが。ボードゲームTRPGの文化もありそうです。 アニメを見ている人は多いものの、多くはジャンプ系です。たまに美少女アニメを見ている人と出会うこともあります。原神がとても人気です。

環境

道があまりよくないので、歩きやすい靴がないと転びます。人が転んでいるところを見たことがないので、私が転びやすいだけかもしれません。スコールが降るので、防水性または排水性も必要です。バックパッカーがよく勧めているKeenのNewport H2を買っていったところ、快適に過ごせています。

野良猫、野良犬が驚くほど多いです。しかも、彼らに与えるドライフードが道端に撒かれていて、ふやけて汚くなっています。寮にも野良なのか飼っているのかわからない犬猫が数匹いて、寮の廊下はしばしば獣臭いです。去勢手術の必要性を強く実感します。動物が嫌いな人にも好きな人にも無秩序に犬や猫が増えている状況は不快だと思います。

排気ガスがとにかくひどく、露骨に喉の調子が悪くなったり、空気が曇っていたりします。学内は緑が多く、交通量が少ないのでよいですが、遠出する場合やジープニーに乗るときは注意が必要です。

生活していると、あらゆるところで格差や不公正を感じて、外人として悠々と暮らしていることに居づらさを感じます。特に、ストリートチルドレンから物乞いをされたり付きまとわれるのは日常風景で、やるせない思いになります。バラック小屋のすぐ近くに小綺麗なモールが建っている風景は異様に映ります。また、この一年だけでも不公正な逮捕や殺人が繰り返し起きていたり、大学の予算が削られたりしていて、権力の腐敗を強く感じさせられるのですが、その状況にあって、"物価が安い英語話者が多い国"に留学してきた外国人に何を怒る資格があるのかわかりません。寮の枠が足りていないのに、格安で寮に住んでいますし。

日本人女性とつるむか一人でいがちで、英語を話す機会が減っていることを反省したいです。 10ヶ月も過ごせば、学べることや感じられることも多いでしょうし、気長にやっていこうと思います。